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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第44章 忘れさせてやる






『・・・っ、・・・・んっ、』



全てを知り尽くしている真ちゃんの舌が、口内を行ったり来たりして。その動きに応えるように自分のそれも後を追う。


私の思い通り、その口付けはとても長く深いもので、唇が離れるころには、私の息は既にあがっていた。


名残惜しそうに鼻先からふたつの影が離れると、寒さのせいですっかり冷たくなっていた真ちゃんの手が私の腕を掴み、そのまま少々強引に引かれる。




「・・・帰る。あとは頼むぞ。」



それだけ真ちゃんは高尾に言い残し、その場を後にする。高尾の前で堂々とあんなキスをしてしまった手前、横を通り過ぎるときは案の定少し恥ずかしくて、助けてくれたお礼の一言も言えず、ただただ真ちゃんに引かれるままに足を動かした。




帰り道は無言だった。
真ちゃんが一体どこまで知っているのかは知らないが、何も聞かれることもなかったし、他愛もない話すらもしなかった。


ただただ引かれるがままに大きな真ちゃんの背中を眺めながら歩き続けて、ふと気が付いたときには自分の家にいた。


そして私の部屋に入るや否や急にその腕を引かれ、あっという間に真ちゃんの腕の中に抱えられる。



「・・・すまない。」



聞いたことのない真ちゃんのその声は、なぜだか震えていた。どうして真ちゃんが謝るの?そう聞くより先にその答えを並べられる。



「・・・また守ってやれなかった・・・・・またオマエに嫌な思いをさせてしまった。」


『・・・・・。』



ギュっとその腕に力が籠る。
心身共に冷えた身体は、だんだんに熱を取り戻し始め、荒ぶっていた心もだんだんに冷静さを取り戻した。


どんなに洗ってもキレイになんて戻らないし、気も済まない。


それなのに、だ。
真ちゃんにキスをされたあの瞬間。魔法をかけられたかのように負の連鎖から解放されたのだ。




『ねぇ、真ちゃん。』


「なんだ?」



『・・・・・また消毒してくれる?』



すっぽりと入った腕の中から見上げれば、それが合図となりどちらともなく再び唇を重ねあった。高尾の前でしたキスよりも、もっともっともっと荒々しくて、それでいて優しくて。


クチュクチュと卑猥な音さえも、興奮材料に変わる。腕や足を全て絡ませて、縺れながらキスを繰り返して、雪崩込むようにベッドへと身を投げた。


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