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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第41章 オマエの隣にだって






「あれ・・・?」



異変に気付いたのはある日の部活でのことだった。置いておいたはずのTシャツが数枚、無くなっていたのだ。


それからすぐにこれが嫌がらせだと分かった。


一年生である自分が一軍に入ったことで不満を持った先輩たちは沢山存在した。それに加え、彼氏の元カノジョもバスケ部の先輩だったことが運の尽き。


私はいじめの標的(ターゲット)になったのだ。そしてその嫌がらせは部活だけではなく、瞬く間ににクラスの中にまでも広がっていった。


辛かった。なんで私が、とも思った。今まで友達だと思っていたクラスの子たちからも冷ややかな目で見られた。誰も助けてなんてくれなかった。


そうして一気にヒエラルキーの最下層にまで落ちぶれた私は、とうとう彼氏からも振られる始末。




・・・もう学校なんて行きたくないっ。
でも負けず嫌いな性格がここで不登校になるのを許すはずもなく。部活ではひたすらに練習をしてエースまで登りつめ、学校では他の女子たちに負けないよう人一倍美意識に力を入れてモテるオトコばかりと付き合った。


もちろんこれが正解だとは思っていないが、あの時の私にはこんなことくらいしか活路を見出すことが出来なかったのだ。そんな生活を続けていた私は、自力でなんとか居場所を見つけることに成功したのだ。


だから山田に嫌がらせをしたとき、毎度毎度助けてくれる赤司と緑間が隣にいることが心底腹が立ったし、それと同時にとっても羨ましかった。




「なんで今オレにその話を?」


「・・・分からない。」


「そうか。それでもオレはやっぱりオマエを許せない。でも、だけど、」



人の良さそうな顔をした木吉の後ろをついて歩けば、すぐに秀徳の控え室前に辿り着いていた。そして大男はその扉をノックする。



「オマエの隣にだって大切にしてくれる誰かが絶対にいる。」


「・・・っ、」


「がんばれ。」



背中を思いきり叩かれたと同時に目の前に現れたのは、山田だった。ユラユラと視界が滲む。

・・・あぁ、泣いているんだ。
そう自覚した頃には嗚咽が混じりはじめた。



(『ど、どうして泣いてるんですか?』)
(「・・・泣いてない。」)
(『えぇ・・・強気。』)



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