第7章 殴ってください
「あーらら、誠凛困っちゃったね〜。」
「気を抜くな。黒子はこれで終わるようなやつじゃない。」
「大丈夫だって!影の薄さ取ったらただのザコだろ?」
『高尾、言い方!』
全く、とため息を吐きながら試合に出ていた5人にドリンクとタオルを渡した。
タイムアウト中、監督とキャプテンの話も聞かず、真ちゃんと高尾は何やら話しているようだった。
『2人とも監督の話聞いてた?』
「聞いてねぇ」
「必要ないのだよ」
そんな訳あるか、と叱ると2人はそのままコートへ戻って行った。
試合が再開するとすぐに高尾が動いた。
黒子くんのスティールを高尾がスティールしたのだ。
『スティールのスティールって、なに。初めて見たよ。』
毎日練習を見てきた。
決して高尾を下手だと思っていた訳ではないが、正直ここまで高尾が出来るとは思っていなかった。
『高尾が黒子くんを封じてるんだ。』
ふざけてばっかじゃないんだな、真ちゃん良い相棒見つけたな、と心の底からそう思った。
そのときコートでは真ちゃんがセンターラインからシュートを決めていた。さすがに誠凛も面食らうかと思ったが、実際にはその逆のようだった。
『火神くんの1人アリウープ!?』
なんてやつだ。
そんな青峰くんみたいなことをする人が他にもいるのか?
だから黒子くんは火神くんを選んだのか?
真ちゃんもきっと驚いたに違いない、そう思いコートにいる真ちゃんに視線を戻すと、誠凛のゴール下でシュートホームに入っていた。
そんな、まさかと思ったが、そのまさかだった。
「そんな手前ではないと言ったはずなのだよ。オレのシュートレンジはコートすべてだ。」