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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第41章 オマエの隣にだって




「なんだと?松野先輩がここにいるだと?」


「だーかーらー何回もそう言ってんじゃん。」



あれ?このやり取りデジャブじゃね?
なんてバッシュを履きながら高尾は呑気に笑う。隣に腰掛ける花子の方に視線を移動すれば、バツが悪そうな顔をしているところからして、松野先輩がここにいることを知っているようだった。



「まさか会ったのか?」


『・・会った。』


「いつ?」



食い気味な質問に申し訳なさそうな素振りを見せながら花子はポツリポツリと昨日会ったことを話し出した。



「すぐ言えよ、バカめ」


とため息混じりに髪をわしゃわしゃと撫でれば、花子はごめんとだけ小さく呟いた。別に怒っているわけじゃない。ただただ心配しているだけだ。


そんな心の内を言えたらどんなに楽だろうか。それでも結局は自尊心が邪魔をして、そんなことは言えずに飲み込んで終わる。



「暫く一人で行動するな、どこか行くときはオレか高尾に必ず声をかけろよ。」



トイレもだ、と念を押すように付け足せば、大袈裟じゃない?と花子ははにかんだ。


そりゃ、あんなことされたんだから大袈裟にもなるだろうと出かけた言葉たちを再び飲み込んだ。


そして間をおかずに、控え室に入ってきた大坪さんから招集がかかり、誠凛戦の作戦を告げられた。



「よし、他に何かあれば今聞くぞ。」


「ちょっといいですか?」


「おう、なんだ緑間?」



ずっと考えていた。
ジャンプ力とハンドリング力がアップした火神とやり合う手段を。付け焼き刃の武器を身につけるほど、オレのシュートは安くない。そうなればやることはもう決まっているのだ。


「オレが引き付けて、パスを出します。」


「えっ!?ちょ、おい今何つった?」


「あっ・・誰か!録ってない今の?レア過ぎっしょ!」


「えぇ、マジで真ちゃん?」


『ウソっ・・聞き間違いじゃないよね?』


「無論なのだよ、勝つためだ。その為ならば何度でも言おう。・・・オレが引き付けて、パスを出します。」



ここで必ず勝つためには一人で戦うことを辞め、チームで戦わなければならない。そう気付かされたのは、皮肉にも前回の誠凛戦だった。


「もう負けるのはごめんだ。」


ボソッと呟いた言葉は誰にも届くことはなかった。


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