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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第38章 一発、ドーンと






「チッ、反吐が出る試合だった。人事を尽くして天命を待つという言葉をあいつらは習わなかったのか?クソ・・・腹が立つのだよ。」



真ちゃんはあからさまに強くロッカーの扉をバタンと閉めると、取り出した小銭入れを私に投げつけた。



「オイオイ、真ちゃん。気持ちは分かっけどよ、山田にまで当たることねぇだろ?」



ウィンターカップ予選の初戦、杉並高校に勝ち決勝リーグへと駒を進めることができたのは昨日のこと。


決勝リーグに進出したのは私たち秀徳の他に黒子くんたち率いる誠凛、西の王者泉真館、そして先程試合をした霧崎第一の4校だ。内2校がウィンターカップへと出場できる。


のだが、霧崎第一は端から勝つ気などなかったのか全くと言っていいほど主力のメンバーが出ていなかった。


それが原因で、冒頭のように真ちゃんが怒っているのだ。



『気にしないで、高尾。今に始まっまことじゃないから。』


「でもよ、」


『いいの。・・・飲み物買ってくるね。』



見事にキャッチした真ちゃんの小銭入れを持って私はロッカールームを後にした。


霧崎第一の試合に腹が立っていたのも事実だが、ココ最近の真ちゃんはいつにも増してピリピリしていた。


もちろん理由は、この予選を勝ち抜かなければ赤司と戦うことさえ出来ないからだ。特に直近の試合で惜敗した誠凛に対しては異常なまでに執着している。


飢えた獣は怖いという言葉があるが、勝ちに飢えた真ちゃんは故に気が立っているのだ。




『暫くは仕方ないか。』



真ちゃんの大好物であるおしるこが売られている自動販売機は、ここから一番遠い外にある為仕方なくそこを目指す。


立ち入り禁止の看板を横目に通り過ぎようとしたときだった。不意に右腕を強く掴まれ、引きずり込まれるように暗闇へと誘われた。

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