第6章 秀徳に行かないか
準決勝10分前、最後のコート練習。
各々がシュートを打って調整している中、誠凛の火神がオレに向かってガンを飛ばしてくる。
バカめ。本当にオレとやり合うつもりでいるのか、と嘲笑ってやりたかったが、花子に今日の朝、喧嘩腰にならないでね、と指摘されたのを思い出し我慢した。
その花子はドリンクとタオルの準備、それからスコアと作戦板の準備をしていた。
「なーに見てんの?」
「何も見ていないのだよ。」
「ウソつけ。今山田のことずっと見てたじゃん!」
全くこんなところまでホークアイを使うな、と言い放つと同時にキャプテンからの集合がかかった。
一通りの作戦を聞き、エンジンを組む。
そして試合前に花子とハイタッチをする。
いつも通りだ。この試合も勝つ。
例に漏れず、調子は良く、オレと高尾は開始5分でベンチに戻った。
『決勝まで体力温存しといてね。』
「あぁ。」
ユニフォームの上からジャージを羽織ると、高尾の視線の先が誠凛の試合であることに気付いた。
「オイオイ、誠凛1年コンビ引っ込めちまったぞ!勝負投げたのか?」
「いや、むしろ逆だ。」
『あの目は・・・・・勝つ気だ。』