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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第36章 オレのオンナだ





『一時はそれで嫌がらせは落ち着いたんだけどね、2年生になったらまた嫌がらせが始まって。そこからなんだかバスケも学校もどうでも良くなっちゃってさ。』


「それで不登校になったの?」


『そう。』



すっかり具合も良くなった高尾はシュートを放ちながら私の話を聞いていた。高尾に話せなかった部分もあったが、こんなに過去のことを人に話したのは初めてのことだった。



『その後のことは私もあんまり詳しくないんだけどね、』



キセキのみんながそれぞれ力を発揮するようになり、仲の良かった真ちゃんと赤司でさえ距離が生まれ、今のようにバラバラになってしまったことを話した。



「赤司も山田のこと好きだったんだな。」


『・・・そう思う?』


「いや、そうしか思えねぇけど?」



私がそう思ったのは最近だ。
赤司から直接好きだと聞いたことなど一度もないが、恋を知った今、振り返ればもしかしたら赤司は私のことが好きだったのではないだろうかと思うようになった。



『・・・最近気付いたよ、私。』


「オマエ鈍感そうだもんな。」



高尾はバカにしたように笑う。
仮にもし赤司が私を好きだったとしても私は変わらず真ちゃんを選ぶだろう。それは揺らがない。


赤司の気持ちに応えることは出来そうにないが、また昔のように仲の良い3人に戻りたいと思うのは、ずるいことなのだろうか。


・・・ダメだ、分からない。
考えることを諦め、大きめにため息を吐くと山へトレーニングに行っていた他の部員たちが続々と戻ってきた。



「花子、高尾は平気なのか?」


『あ、大人の真ちゃんだ。』


「は?オマエも熱中症か?」



先程まで中学生のころの話をしていたからか急に真ちゃんが成長したように感じ、思わず笑ってしまった。


もちろんなんのことかさっぱり分からない真ちゃんは、とうとう私がバカになったのかと思ったのだろう。真ちゃんのキレイな手が私の額を目掛けて伸びてくる。



『・・・いやっ、』


「・・・花子?」



・・・あれ?なんで・・・真ちゃんなのに。
ふいに、その手を振りほどいてしまった自分自身に私は動揺していた。


恐る恐る見上げれば、悲しそうな困ったような顔をしている真ちゃんと視線がぶつかり私は目を逸らすことしかできなかった。


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