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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第35章 幼なじみをやめたいんだ






『赤司いないとコートが広く感じるね。』


「そんな変わるか?」


『うん・・・やっぱりちょっと寂しいな。』



まだ3日だろう、と真ちゃんは鼻で笑いながらシュートを放つ。


赤司が宮古さんと付き合ったことはすぐに学校中の噂になった。行きも帰りも当たり前のように隣にいた赤司がいないのは正直寂しかったが、その赤司の隣で歩くキラキラと輝く宮古さんを見たらそんな感情を抱くなんて不謹慎だと思い咄嗟に首を横に振った。


これが恋人と幼なじみの違いなのだと私は初めて知り、まだ見ぬ愛しい誰かと歩く自分を想像してみたりした。


ボールを転がしながら真ちゃんが練習している姿をボーッと眺めていると、不意に真ちゃんが口を開く。



「嫌がらせはどうだ?」


『なーんにもないよ。もう気が済んだんじゃない?』


「そうか。またなんかあったら次はオレにすぐ言えよ。」




分かってるよ、と悪態をつく。
学校に通うようになってまだ3日だが、ウソのように嫌がらせがパタリと無くなった。不思議に思いながらもまた急に何か嫌がらせがされるのではないかと少し身構えたりもしているのが現状だ。



『ねぇ、真ちゃん。』


「あぁ?」



そんな中、ずっとあの日赤司が家に来てから気になっていることがあった。赤司の言い放ったあの一言。


“幼なじみをやめたいんだ”



幼なじみってやめられるものなのだろうか。小学生から今まで積み重ねてきた毎日こそが幼なじみの結果であり、今更距離をとったところで私たちが幼なじみだったことは変えようのない事実だと私は思っていた。


しかし、この3日。
学校で会えばあいさつこそするものの、今までとは違う空気が赤司を纏っているのだ。


恋がこんなにも人を変えてしまうということも私は初めて知った。



『赤司って・・・・・っ、』


「あ?赤司がどうしたのだよ?」



双子だったっけ?と言いそうになった言葉たちを飲み込んだ。こんなことを聞いたらきっと真ちゃんにバカにされるのが落ち。


ただ、そう思うほどにときどき垣間見える赤司が私には同じ顔をした別人に思えたのだ。




(『ううん、何でもない。』)

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