第32章 知らないフリをしよう
「今なんて言った・・・?」
『だーかーらー、灰崎くんに告白された。』
「はぁ?」
真ちゃんの部屋で宿題をしながら今日あったことを報告する。今日は男子女子共に部活はお休み。赤司と3人でいつも通り公園で自主練をして今に至る。
教室での灰崎くんからの告白。
びっくりしすぎて唖然としている私に、悪い顔で笑いながら灰崎くんは言ったのだ。
“まぁ、3番目で良ければだけど、”
『チャラチャラし過ぎだよね。お断りしますって言ってやったよ。』
「そうか。悪いことは言わない、アイツはやめておけ。」
『やめるも何も好きじゃないし。あ、そうだ!』
好きというワードで今日起きたもう1つの出来事を私は思い出していた。それは、宮古さんの件だ。
『宮古さんって赤司のこと好きなのかな?』
「宮古?誰だ?」
『ほら、3組の男バスのマネージャーの子だよ。』
「あぁ、あいつか。・・・言われてみれば赤司の側にいることが多いような気もしなくもない。」
『そっか。今日聞かれたからさ、赤司と付き合ってるのって。』
そんな話ばかりで、正直嫌になる。
誰が好きだとか誰と誰が付き合っているとか。
今の私は、バスケがあればそれで良かった。
真ちゃんと赤司とバスケして、試合に出れるように部活を頑張る毎日。
そんな今が1番楽しかった。