第30章 私、シューターになりたいです
「まさかオマエが本当に1軍になれるとはな。」
『へっへーん。凄いでしょ?』
「良かったな、花子。一緒に練習した甲斐があったよ。」
『2人のおかげだよ。ありがとう。』
「礼などいいから、早く選ぶのだよ。」
無事に3人とも1軍に振り分けられ、早くもハードな練習に参加した。そしてずっと使っていたバッシュが少し小さく感じ、帰りにそのままスポーツショップへとやってきたのだ。
『んー、迷うなあ。』
「これなんかどうだ?花子に似合いそうだ。」
赤司が選んでくれたバッシュは、白地にピンクでメイカーのロゴが記されているものだった。そしてマジックテープ式。
『それ、良いかも。』
「あ、でもこれじゃ緑間と被るか?」
「あぁ、同じ型なのだよ。オレのが新しいがな。」
履きやすそうであり、何より見た目が可愛いそのバッシュ。これにしたいと思う反面、真ちゃんとお揃いになってしまうのが少しばかり気まずいとも思っていた。
何せ、入学してからこの1ヶ月。
ありとあらゆる人から真ちゃんと赤司、どちらと付き合っているのかと何度も質問された。
付き合っていないことを伝えれば、次は決まってどちらが好きなのかと聞かれる始末。そんなことばかりな毎日に少し嫌気がさしていた。
もちろん真ちゃんも赤司も大好きで大切だけれど、イコールそれが恋だと言うわけでもない。それに私はまだ恋愛というものをよく知らないのだ。
真ちゃんと色違いのバッシュなど履いたりした日には、ガヤガヤ言われるのは目に見えていた。
しかしそれを踏まえてでもやはりそのバッシュに心惹かれるものがあった。
“赤司が選んでくれた、真ちゃんとお揃いのバッシュ”
私はそれがすごく嬉しかったのだ。
(『よし、これにする!』)