第27章 オマエのが綺麗だよ
「あ、黄瀬くんじゃん。」
「高尾くん、どーもっス。」
『黄瀬くん金魚すくえたの?すごいね。』
「こんなん楽勝っスよ。てか、花子っち浴衣すげぇ似合ってるっスよ。」
『え?ほんと?』
・・・コイツ。オレが言いたくても言えなかったことをサラっと簡単に言いやがって。だからチャラチャラしたやつは嫌いなんだ。
「ほんとっスよ。ねぇ、緑間っち?」
「はっ、・・・・・普通なのだよ。」
「相変わらず素直じゃないねー、緑間っちは。」
「うるさいのだよっ」
『それより、黄瀬くん1人?』
「誰か一緒じゃないの?」
花子と高尾が不思議そうに問いかけると、黄瀬は苦笑いをしながら河原の上当たりを指さした。
そこには浴衣を着たキレイな女の子たちが15.6人集まって何やら揉めているようだった。
「誰か1人なんて選べないから、みんなで行こうかって言ったらこの有様っス。冗談のつもりだったんスけどねぇ。」
どうしたものか、と笑う黄瀬。
大方そんなことだろうと予想はついていたが、やっぱりコイツのこういうところ、嫌いだ。
「じゃ、そろそろ花火始まるんで戻ります。また大会で!」
ウインクを1つ飛ばすと、黄瀬は来た道を引き返し女の子たちのところへと戻って行った。
『なんか、台風みたいだったね、黄瀬くん。』
「迷惑極まりないのだよ。」
「黄瀬くんってすげぇモテんのな。」
「中学のときも学校一モテていたのだよ。」
『高尾も黄瀬くんに女の子、紹介してもらえば?』
「確かに。惜しいことしたぁー。」
高尾が悔しがると同時に、上空には花火が上がり始めた。