第24章 結局行くんじゃん
好きと伝えたことに恥ずかしくなったのか、私のことを見つめていた真ちゃんは耳まで赤らめて、再び視線をボールに戻した。
『あ、照れてる?』
「うるさいのだよ」
『ごめん、ごめん。・・・私も話したいことあるんだけど良いかな?』
赤司のことで。
そう付け足すと真ちゃんはボールをかごに戻し、もう一度私のことを見つめた。
あの日、赤司と2人で会ったあの日からかなりの頻度で夢に赤司が出てくるようになった。夢の中でも赤司は強引にその行為を続けていて、目が覚めてもあの日の赤司の感触が身体に残ってしまっているのだ。
それに加えて中学の体育館倉庫でのこともフラッシュバックしてしまう。
『だから、赤司と顔を合わせたくないんだよね。』
「そんなことだろうと思っていたのだよ」
『え?』
「この前寝ながらうなされていたとき、オマエが赤司と呟いたのをオレは聞いていた。」
犬に追いかけられたなどバカでも分かるウソに仕方なくのってやっただけなのだよ、と真ちゃんは大きくため息を吐いた。
『そのとき言ってくれれば良かったじゃん。』
わざとらしく頬を膨らませると、私のその両頬を真ちゃんに左手で摘まれる。
「そんなナイーブな話、オレから聞けるわけないだろ?まぁいい。そろそろオレは試合に行くがオマエはどうする?」
『結局行くんじゃん。私は本当洗濯とかいろいろ仕事あるから、待ってるよ。』
いつの間にか摘まれていた頬は解放されていた。真ちゃんは立ち上がり、私に背を向けると転がっていたボールを片してインハイの会場へと向かおうとした。
(『一応言っておくけど、』)
(「あぁ、なんだ?」)
(『サングラスは辞めといた方がいいよ』)
(「う、うるさいのだよ」)