第24章 結局行くんじゃん
『ごめん、待った?』
「いや、オレも今来たところだ」
体育館に行くとシューティングしている真ちゃんがいた。真ちゃんの足元にはバスケットボールがかなり転がっていた。それを拾いながらボール入れに戻していく。
するとシュートをやめた真ちゃんがパスをしてきた。
「たまにはオマエも打ってみろよ?」
キャッチしたボールを見つめて、少し考えてから3Pを打ってみた。そのボールはリングにあたり外れた。
『これでもシューターだったんだけどなぁ、』
「いつも言ってるだろう?右手の力が少し強い。」
『分かってるよ。』
少し不貞腐れた返事をしてから、壁に寄りかかるように座っていた真ちゃんの横に私も腰を下ろした。
余程話しづらいことなのだろう。真ちゃんは持っていたボールを左手で転がしながらそのボールに視線を落とす。
「・・・赤司のことなんだが、オマエに謝らなきゃならないことがある。」
それから真ちゃんは、あの日の話を始めた。あの日とは、私が赤司と2人で会った日のことだ。
赤司を説得すると言ったものの、結局説得でなかったこと。そしてウィンターカップで私を賭けて勝負することになってしまったことを教えてくれた。
「すまない。」
いつの間にかハンドリングをやめて、真ちゃんは私に頭を下げた。
『なんで真ちゃんが謝るの?』
「いや、・・・人を、・・オマエを物のように賭けて試合をするなんてふざけている。それを断れなかったんだ。」
『でも真ちゃんが、・・秀徳が勝てば問題ないんじゃない?』
私が問いかけると、真ちゃんはこれだからバカは困るのだよ、と鼻で笑った。
『それに、赤司がなんて言おうと私は秀徳で真ちゃんと日本一になるし、・・・・・っ、』
言葉に詰まる私を見て、真ちゃんは不思議そうに見つめる。
ドキドキとうるさい心臓をどうにか鎮めるように、私は大きく息を吸い込んだ。
『・・・誰になんて言われようと、私は真ちゃんが好きだからっ、・・・・・だから、私は赤司の命令なんかに左右されない。』