第6章 確証
そうだ。
一刻も早くこの場から離れたい。
離れなきゃいけない。
自分でも分かってはいるけれど、
身体が恐怖と欲に震えて
上手く動かせない。
じりじりと、私がソファを
掴むように拳を握りしめた時、
部屋のドアが勢い良く開いた。
———バタンッ!!
「岸くん!! 勝瀬さん!!」
「二人とも大丈夫!?」
入ってきたのは、紫耀くんと
海人くんだった。
そんな彼らを端のぼやけた視界で
捉えるのがやっとで、
私は思わず目を合わせまいと俯く。
———正直、今アルファの匂いは
嗅ぎたくない。
身体が熱を持ち過ぎて、
自分の気持ちなんて関係なく
理性が弾け飛んでしまいそうだった。
“———抱いて”
“はやく、私に、アルファの種を
ちょうだい———”
“めちゃくちゃに、して———”
身体が、アルファの熱を求めている。
けれど、その相手は彼らじゃない。
彼らであってはダメなのだ。
「やだ………」
俯いたまま、私は呟く。
……誰か助けて……———。