第6章 確証
「……は? 待ってそれ……
なんで? 勝瀬さんが?」
——上手く状況が飲み込めない。
でも、廉の焦り方は、
今までに見た事のないものだった。
「やから早く!! とにかく早く
優太とマリさんのとこ行って!!」
「……とりあえず行こう。
海人、これすぐ打って」
勝瀬さんがオメガだって……
信じられないけれど、
今は廉の言うことを信用するしかない。
海人に非常用の抑制注射を渡した。
二人でそれを首に注射する。
じん、と身体に薬が染み渡っていく
感覚がした。
もし、あの人が岸くんのヒートで
発情してしまっていたら、
アルファである俺と海人も当てられる
可能性が高い。
だからこそ、それを防ぐための抑制注射。
……しかも一番強力なものだ。
「紫耀、行こう」
「うん」
ほんとに、
大丈夫なのかな——……
そんな疑問を抱きながら、
俺と海人は楽屋のある上の階へ向かった。