第6章 確証
この時、ふとある事に気がついた。
「……そういえば、岸くんって
まだヒート来た事ないんじゃなかった?」
「言ってたねそれ。なかなか来ないのが
悔しい〜ってベソかいてたりした」
「蒲田さん、それって……
めっちゃ危なくないっすか?」
ぐらり、と心が揺れる。
アルファのヒートというものは、突然訪れる。
ある時、何の前触れもなく、唐突に。
でも、あの人がオメガであるなら、
いくら薬を毎日打っていたとしても、
ここまで食い止めてきた岸くんのものが、
微かな匂いで弾け飛んでしまう可能性は、
ないのだろうか。
初めてのヒートで匂いに当てられれば、
理性なんて無いも同然だ。
……しかも岸くんは、そうなる可能性がある
ってことを知らない。
「……あの体調不良が、ヒートだって?」
「可能性はあるっす。岸くん今までそんなん
なった事ないから、気付いてないって
パターンもあり得ます」
………なんか、嫌な予感がする。