第6章 確証
全身をかけめぐるアルファの熱。
初めて見る、
男性アルファのヒートだ。
岸くんはまるで別人の顔をしていて
こちらの拒絶も相手にしない。
───いや、出来ないで
いるのだろう。
抵抗ができない私は、
唇の熱を、荒い息遣いを、
ただ間近で感じることしか出来ない。
アルファの唾液は、
その気になればオメガにとって
最高の媚薬になる。
岸くんのそれは、
きっと他の個体よりも濃い。
だんだん熱くなる自分の身体。
その本能には抗えなくて、
じんわりと涙が滲んでくる。
……岸くん、お願い。
お願いだから
元に戻って………
治まって……
助けて────……
誰か………………………