第6章 確証
「──っ、! んぅっ」
貪るようにされる口づけ。
互いの唾液が混じると、
オメガにとって
それは確かな媚薬になる。
……しかも、岸くんのそれは
今までにないスピードで
全身を駆け巡っていく感覚だ。
はね除けようにも、
彼の圧倒的な力には敵わない。
だんだんと、
自分の中に眠っていたものが
沸き上がってくるようだった。
……だめ、だ。
アルファの匂いが強すぎて、
自身の発情が誘発されそうだ。
こんなに強いオーラと、
放つ匂いの濃さは始めてで、
普段の彼とは、全くの別人で───
「……っ、は、岸くん、待って!
やめ、て……っ!」
やっと離れた唇から出た声は、
微かに震えていた。