第5章 岸優太の憂鬱
紫耀Side___
岸くんが体調を崩すのは
今まで活動してきて初めての事だ。
顔色が極端に悪かったけれど
少し休んで帰ってきた時はもう
いつもの岸くんで、安心していた。
……でも、身体のだるさが抜けないって
さっき聞いてから、
なんだか心配でならない。
「しょう?」
「ん? 何?」
隣にいた神宮寺が、
優しい声で俺を呼んだ。
「岸くん心配?」
「……うん、ちょっと。岸くんほんとに
体調崩さないから」
「だね。玄樹が休んでから岸くんも
結構無理してたみたいだし」
……俺は、彼の葛藤を知っている。
このグループのメンバーは、
誰かしらが悩みを抱えてるけど
岸くんはその中でも
大きすぎるそれなのだ。