第5章 岸優太の憂鬱
腕で明かりを遮って横になる。
じんじんと脈打つ痛みは
どんどん強くなっていく。
これが終わったら、
病院行ってから帰ろう……
市販薬より、病院で処方された
ものの方が的確だろうし。
……でも、なんか
余計に痛む気がする………。
「岸くん」
唸るように声をあげていれば
また優しい声が聞こえる。
うっすらと目を開けると、
そこには優しい笑顔があった。
「あ、起き上がらなくていいよ!
これだけ、貼らせてくれないかな?」
勝瀬さんがそうやって
見せたのは冷却シート。
俺は小さく返事をして
前髪を上げる。
「冷たいよ?」
「……っす。」
ひんやり冷たいそれは、
暑さで熱せられた身体を
治めてくれる。
はっきり言って救世主。
なんで家から貼ってこなかったのか
後悔するほどに気持ちいい。