第5章 岸優太の憂鬱
「ありがとう、ございます」
「全然。岸くん個人でも
最近忙しくなってきたもんね。
ドタバタしてると大変だよね~」
優しく、響く。
なんだか、
それが心地いいなとか。
思ってしまって。
2~3歳しか違わないのに、
こんなに大人に見えるのか。
「すいません俺……
体調管理出来てなくて」
「いやいや。それ、私が
責められることじゃないよ」
私も前にやってるし、と
勝瀬さんは笑う。
その綺麗な笑顔に、
心がじんわりと熱を持つ。
ああ、なんか。
この人の笑った顔……
なんか、
なんかすげえ、良いな。