第4章 疑惑
「廉、今日どうかした?」
「ん? 何が?」
きょとんとした顔で、
廉はオレを見上げた。
「なんか……朝出てった時と、
様子違うから」
ぎくり。
本当の事をつかれた、と
彼の表情が変わる。
「なんかあったの?」
「あるわけないやん? つうか、
早く撮影終わらそうや。
みんな疲れてるやろ?」
……廉は、普段はごまかすのが
結構上手かったりする。
しょうは人を信じやすいとこが
あるからいつも廉のごまかしに
騙されるんだよね。
だけどオレは───
年が近いから。
……ただそれだけじゃなくて、
廉の微かな雰囲気の変化も
読めるようになったんだ。
オレだけは、
彼のごまかしに気付けるなんて
自負している。
「……あの、マネさんのこと?」
ボソリと呟いた言葉は、
どうやら当たりだったらしい。
オレは軽く廉の肩を叩いて言った。
「後で話聞かせて」
いつも年下なんだと
馬鹿にしてくる。
けれどこんなとき、
オレはあんたより優秀なんだよ
───廉。