第4章 疑惑
やばい。
これは……
なんで───……
「はぁ、……なん、で」
朝の記憶を辿る。
私はこの時初めて、
自身がおかした失態に気付いた。
これまで毎朝打ち続けていた
フェロモン抑制剤。
それを、今朝は打っていない事に
気が付いたのだ。
廉くんの匂いに
当てられたのかな……
でも、あの子のヒートは最近
来てないって言ってたのに……
発情期のサイクルは、
通常であればまだ先だ。
アルファの匂いに当てられたのなら
あの二人とすぐに別れたのは
正解だった。
もし、私がオメガだと
知ってしまったら。
気付かれたら、私はきっと
仕事を下ろされてしまう。
せっかくここまで
メンバーとも仲良くなれたのに。
そんなこと、
私は絶対されたくない。
私は無意識に、
蒲田さんの番号へ電話を
かけていた。