第4章 疑惑
「そう? みんなが頑張ってるから
私も頑張らなきゃって感じなの。
でも休めてるから安心して下さい」
泣き言なんて
言ってられない。
頑張らないと。
「そうっすか? でも、
無理はせんといて下さいね」
「うん。ありがとね二人とも」
車で約1時間。
完成した映画の試写会イベントに
出演する彼らを見送ると、
私はすぐに元いた現場へ向かう。
車を走らせていた時、
ふとある違和感がはしった。
「……あれ、」
いつもと違う何か。
心臓の音が、
すぐ耳元で聞こえる。
久しく迎えていない
衝動的なそれに耐えながら、
私は車を道路の端に停める。