第3章 それぞれの葛藤
優太Side___
「岸くん、振り覚えた?」
「ん? 俺完璧よ!」
俺のグッドマークに、海人は何だか
不服そうな表情だった。
「これ、一緒にやって?
俺なんか分かんなくなって」
「おー。やろやろ」
汗をかいたTシャツから
新しいのに着替えると、
そそくさと海人のいる方へ向かう。
リハーサル室。
新曲の振り付けが上手くいかないからと、
海人は俺に声をかけてきた。
年上で先輩だから
頼ってきてくれているのか、
はたまた何か別の魂胆があるのかは
分からないけれど。
頼ってくれるのは純粋に
嬉しいから、俺もその気になる。
「1・2・3、4、5・・だよ」
「こう? ああー、成る程」
しょうもおんなじだけど、
一度合点がいくと、海人は
驚くほど早く理解してやってのける。
この2人はまさに、
《カリスマ性に溢れたアルファ》
って感じだ。