第3章 それぞれの葛藤
アルファに生まれて良かったと、
思えた事が一度だってあったか。
そんな憎まれる事を言っても
何にもならないと分かってる。
だけど、
俺の周りにいるのは
出来の良いアルファばっかで、
なんで同じアルファの俺に
出来ない事を
彼らはやってのけるのだろうと、
嫌になる時期がくる。
デビュー会見の時、
ファンのみんなが俺を
リーダーに指名してくれた。
けどほんとは、
俺なんかにリーダーなんて
務まるわけないんだ。
俺なんかより、
もっとしっかりしてる
廉やしょうがなったって
おかしくない。
……でも。
上手く出来なくても、
メンバーは誰一人俺を責めない。
それもなんだか、
申し訳なくて。