第2章 名前はキンプリ
「そうだねえ。一番生活はしやすいけど
アルファやオメガに適用するものは
何も無かったりするからね」
そう呟きながら口に入れた
サンドイッチは、凄く美味しかった。
「なんで、その性別に従って
生きていかなくちゃいけないんすかね。
好きな気持ちは、抑えられないのに」
リーダーの岸くんは、
紙コップのお茶を全て飲み干してから
寂しそうにそう言った。
確かに、なんて
私は心の中で思う。
……オメガじゃなかったら。
そんな事を考えたのは
いつ頃からだったか。
「生まれてしまったものは、
変えられないよ。それに、
本能がどうとか、私はお医者さんに
言われたことある」
少し本音を混ぜたその言葉を、
メンバーのみんなは馬鹿にせず
聞いてくれた。
「さあ、今日これからまた
取材なんでしょ?
いつも忙しいんだから、少しでも
休むこと考えてやらなきゃ」
「うっす」
「俺眠いんだよね。ちょっと寝る」
「すいません、俺台本覚えてます」
ごはんを食べ終えたメンバーから
それぞれ散り散りに
自身のしたい事をやり始めた。