第2章 名前はキンプリ
「ちょっと。後でメンバーと
一緒のとき話しましょ」
「ああ、うん」
なんだか心がざわついた。
男性経験なんてほぼ無いに等しい。
そんな女に、こんな
イケメン達がぞろぞろと
近付いて来るなんて、
本当に心臓に悪い。
「自己紹介とかって
しなくていいの?」
「ああ、蒲田さんに名前と顔と
少しのデータならもらってるから」
「少しのデータ?」
「ああ、えっと、好みとか」
長テーブルが3つくっ付けられた
その場限りの会議スペース。
そこに椅子をならべ、
メンバーのみんなはケータリングを
かき込んでいた。
……あれだけ悩んで選んでいたのに、
髙橋くんは結構食べるのが早い。
そして、私の向かいに座る岸優太くん。
彼は、意外と食べるとき男の子っぽい。
ガツガツ行く感じだ。
「そういや、勝瀬さんて
性別なんすか?」
一通り食事が終わると、
永瀬くんがそう切り出した。