第2章 名前はキンプリ
朝ごはんは軽く食べている。
けれど、若い子がもりもり
食べている姿を目の当たりにすると
なんだかお腹が空いてくるものだ。
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
「食べましょ食べましょ!」
「俺お腹すいた~」
「早く取りいくべ」
ぞろぞろと、メンバーは
ケータリングの用意されている
スペースへと向かっていく。
そこで一人残った男の子と
目があった。
「取りに行かないの?」
「ああ、行くっす。腹減りましたね」
「ね。朝から撮影なんて大変だ……」
「はは。俺らいつもっすよ。
まだ若いんで?」
「ああー。なんか馬鹿にしてる?」
「冗談ですすいません!
あ、勝瀬さん何にします?」
そう言って、目の前にある
唐揚げやエビフライといった
揚げ物を選り好みする彼。
着ているオーバーサイズの
パーカーが、なんだか彼の
細めの体型を強調しているようだった。
──永瀬廉くん、か。
移動中の車の中で、
蒲田さんから軽くだけど
メンバーの話は聞いていた。
人見知りだけど、
一番周りを見て行動している子。