第8章 溢れる幸せと自分の役割
「んっ、ふあっ、っあああ!」
「ッ、ノエル…………」
「ろぉっ、ろぉ……!」
ローとノエルの想いが通じ合ってからというもの。ローは毎晩のようにノエルを抱いていた。
(ヤダ、この体勢…………。気持ちいいけど、ローの顔、見れない……!!)
シーツを握り締めながらガクガクと震えるノエルを、後ろから支えてやるロー。
「これ、嫌いか?」
「……ふえ?」
これ、とは言わずもがな。後背位と呼ばれるこの体勢の事。さっきから無意識に首を横に振っているノエルを見兼ねたローは尋ねた。
「ふあっ、ん……ろーの、かお……見れないからやだなとは、おもうけど……んぁっ、ああ!」
「可愛い事言ってくれるじゃねェか」
抜かずにぐるりと前を向かせ、そのまま腰を動かす。ぽたりと垂れたローの汗が、ノエルの胸元に落ちた。
「んっ、ふあああっ……!」
汗で張り付く前髪を払い、その額にキスをする。もう二人とも限界だった。
ノエルが果て、次いでローも果てた。
ふわふわとした頭で、ノエルは最近の悩まされている、とある事を考えようとした。
「考え事とはいい度胸じゃねェか」
「んんっう、あっ……!」
考えようとした矢先、ローにより第2ラウンドが開始された。
「んああっ、んっ、んっ、ぁぁっ」
「っく…………相変わらず狭ェな……」
「あん! っ、しらな……ッア!」
これでは考え事も出来ず、甘い声で喘ぐしか出来ない。
「ふああん! あっ、んんっ、んああっ!」
「出す、ぞ…………ノエル…………」
「ひうっ、ろお…………」
結局今夜もローに愛され、まともな考えも出来ない中、とろとろと眠りに落ちていくのだ。
大好きな人の腕の中で。
「おやすみ、ノエル……」
「ん……、おやしゅみ、ろー…………」
すでに半分意識のないノエルの額にキスをした。
(ローに、たすけてもらって、今わたしはこの船に乗ってる。ここはみんなが、それぞれの役割を持ってて…………わたしはここで何の役にたてるのかな…………)
ウトウトしながら考えようとしても、無駄に終わった。
呆気なく、夢の中へ旅立ってしまった。