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死の外科医と四季姫

第5章 自覚と戸惑い


あれからもう一眠りして、目覚めたのは夕方だった。ペンギンの許可も降りたため、シャワーを浴びた。いつも通り髪を拭いてもらいながら、看病をしてくれた三人にお礼を言うと、嬉しそうに笑っていた。

「そうだノエルちゃん、今日の夜甲板で宴やるんだ」

「宴?」

「そう! ノエルの歓迎会みたいなもんさ! まだやってなかっただろ?」

ぱあ、とノエルが笑顔になる。いつもより念入りに髪を拭き、暖かい格好をさせ、ノエルを甲板へ連れ出した。すでに準備が出来ており、皆ノエルを待っていたようだ。

「おっ、ノエル体調大丈夫かー?」

「やっと主役のお出ましかー!!」

「今夜は飲むぞ!」

と、口々に船員達はノエルの登場を喜ぶ。手には酒が入ったジョッキを持っており、どうやら騒ぐ気満々のようだ。

「私のためにありがとう、とっても嬉しい!」

「ほらノエル! こっち来いよー」

シャチがノエルの腕を引っ張り、ペンギンと自分の隣に座らせる。その向かいには、料理が盛り付けられた皿を持っているイッカクがいる。彼女から皿と飲み物を受け取り、礼を言った。

よーし、みんな揃ってるなー! と乾杯の音頭をとるらしきシャチが、ジョッキを持って立ち上がった。

「俺らの仲間になってくれた、可愛い可愛い妹のノエルに、乾杯!!!!」

妹、という部分には誰も突っ込む気はないらしい。乾杯!! とジョッキを鳴らす。ノエルもペンギンやイッカクと、嬉しそうに乾杯をしていた。が、近くにローがいない事に気付き、辺りをキョロキョロとし始める。

(あ…………いた)

遠くの方に一人で酒を飲むローを見つけ、近くに行ってみようとしたが、船員達に話しかけられ阻まれた。後で行こうと思い、今は会話に集中する事にした。自分のために開いてもらったのだから、無下にする訳にはいかない。

「そーいやさ、ノエルの母さんも四季姫なんだろ? 一緒に逃げなかったんだ?」

確かに! と周りから同意の声が聞こえてきた。彼らの言う通り、四季姫という存在が欲しかったのなら、家族全員捕らえられていても何ら不思議ではない。

「捕まったのは、私一人だけだったからね」

そう、ノエルは答えた。
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