第10章 思わぬ人達との再会
何処の世界にお小遣いで20万くれる人がいるんだろう、とノエルは一瞬考えたが、目の前にいた。
考える事をやめたノエルは、有り難く頂戴する事にした。
「じゃあまたね、二人とも! 次は仲間と一緒に来るよ! その時は、コーティング施工してね!」
レイリーがシャボンディ諸島で、コーティング屋のレイさんで通している事を聞いたノエルは、いつかハートの海賊団のみんなで魚人島に行く時の事を考えた。
「そうだな、ノエルちゃんの恋人の腕も見たいしな」
「お願いだからやめて⁉︎」
冥王と呼ばれた彼と死の外科医がぶつかりでもしたら、この島がなくなってしまうのではないか。
そう考えるとゾッとした。
二人に教えてもらった道を進むと、やがて大きな船がたくさん見えてきた。
その中から、目当ての商船を探す。割と大きめの船なので、すぐに見つかった。
(商戦の船なら正面からは乗れないよねェ〜。よし、裏から行こう!)
所謂無断乗船。ノエルとて海賊。見つからないように過ごす事など造作もないし、万が一見つかっても、倒せる自信はある。
気配を隠し、船内を歩く。倉庫のような所を見つけ、奥へ奥へと入り込んだ。
ここならば隠れるのに苦労はしないだろう。
荷物を少し動かし、横になったり出来る程のスペースを確保した。毛布のような物もあり、少々拝借する。
「あとは明かりが必要だね。初咲き、光薔薇(ジェルミナシオン・ルミエール・ローズ)」
真っ暗な闇も、能力でどうにかなる。一輪の仄かに光る薔薇が咲いた。赤い花が金色に輝く、幻想的な花だ。
「しばらくの根城完成〜! なんだか秘密基地みたい」
少しウキウキとしだすノエル。だが、それよりもずっと、安心感が強かった。
やっと、ローに会えるのだ。
二ヶ月ぶりに会うローは、どんな顔をしてくれるんだろう。
ちゃんと、待っていてくれてるかな。
忘れられて………………いないといいな。
シャチ元気かな。ペンギンはちゃんと寝てるかな。ベポ、ちゃんとご飯食べてるかな。
イッカクちゃん、女の子一人に戻っちゃって、寂しくないかな。
ロー、ちゃんと寝てるかな。
いくらしても尽きない心配。早くみんなに会いたい。その願いを乗せ、船は出港するのだった。