crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第2章 深夜の雨※
「やべえ、兵士だ」
「嘘だろ。捕まるのだけはゴメンだ」
ゴロツキ二人はそそくさと
アウラから遠ざかっていく。
助かったのか・・・・・・?
アウラは朦朧とする意識の中で
近づいてくる兵士と思わしき人物に目線を向ける。
「大丈夫か?」
雨に濡れた兵士は
同じくずぶ濡れのアウラを抱え起こした。
顔には眼鏡をかけていて
表情がよく伺えない。
「君・・・・・・もしかして」
目の前の兵士は驚愕の声を上げると
ビリビリに破けたアウラの衣服に目をやり
自身が羽織っていたマントをアウラの身体にかけた。
顔を上げるとそばにいた兵士に声をかける。
「モブリット、重症だ。
この子を兵舎に連れていく。」
「分隊長、ですが」
「ここに放っておく訳にも行かないだろ。
エルヴィンの馬車をこの近くに回して」
高身長の淡黄色の髪色をした男性と思わしき兵士は頷くと大通りに向けて走っていった。
「もう安心していいよ。」
茶褐色の髪を無造作に結い上げた兵士は
アウラを抱えゆっくりと歩き出した。
朦朧とする視界の中でその兵士の表情は優しかった。
頬に付いた泥や汚れを指の腹で拭われる。
心地良さを感じたアウラはそのまま意識を手放した。