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crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】

第2章 深夜の雨※





深夜だろうか。
雨は本格的に降り始め、
アウラの身体をうっすらと濡らす。


身体を綺麗に洗い流してくれるだろうか。
そんなことを考えながら微睡んでいると
突然肩を掴まれた。


驚いて顔を上げると
目の前にはタチの悪そうなゴロツキが二人。


ニヤニヤとこちらを見つめている。
アウラは冷ややかな視線を二人に向けた。


「何か?」


口を開くと二人は可笑しそうに笑いだした。
下品な笑い方だ。


「何かって、ここは俺達のシマなんだ」

「言ってる意味わかるよな?」


シマだなんて馬鹿らしい。
小さな壁の中で何を言い張ろうと
すべては国王のものだというのに。


たとえ命であっても国王に死ねと言われれば
下々の我々は死ぬしかないのだ。
両親の顔を思い出すと
拳を握り締めた。


「あいにく、
あんた達が求めてるようなものは何も無い」

「そんなこと言ってよ、少しくらいあるだろ」

「触るな!」


身体に触れようとしてくる手を
反射的にはじき返した。


「いってぇな!何してくれてんだ」


ゴロツキ二人が襲いかかってくる。
アウラはすぐに立ち上がり、
自身の腰に手を伸ばした。
だが、そこにあるべきはずのものが無い。


しまった。
昼間、ハンジと名乗る女性に持っていかれたままだ。


それに気づいた瞬間、
アウラの頬に鋭い痛みが走る。

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