crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第4章 優しい人
「・・・・・・・・・なぜ・・・」
暫くの沈黙の後、
やっと絞り出した言葉は震えて掠れていた。
「なんとなくだよ。
君は巨人の生態について聞いてもあまり驚いていなかった。」
本当なら当たって欲しくなかったけど、
とハンジは瞳を伏せた。
「あなたは一体・・・・・・」
こんなにも頭が回り、エルヴィン団長のことを
エルヴィンと呼び捨てていた目の前の女性。
かなりの上の位の人物なのではないか。
アウラの考えを読み取ったのかのようにハンジは口を開いた。
「私は、調査兵団第四分隊分隊長ハンジ・ゾエだ。」
「分隊長・・・・・・」
アウラは横に座る人物を見つめる。
訓練兵でありながら上官に対して
なんて態度をとってしまったんだろう。
「無礼な態度をとってしまったこと
謝らせてください」
「いいよ。そんなの」
アウラが佇まいを正すと
ハンジはソファーにもたれかかった。
「訓練は厳しいからね。
逃げ出して開拓地や自分の家に帰ってしまう兵士なんて沢山いるよ。
君もそのうちの一人だった。それだけさ」
微笑むハンジの姿に
またしても目の奥が熱くなる。
この人には感謝してもしきれない。
お礼だけでも言わなければ。
アウラが口を開こうとした時、
部屋がノックされた。