crazy for you.【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】
第3章 煤まみれの少女再び
アウラは明るく暖かい場所で目を覚ました。
目の前では二人の人物が話をしている。
「ハンジ、なんだこれは」
「街で襲われたみたいなんだ」
先程の茶褐色の兵士の隣に
低身長で黒髪の男性が立っている。
その男は目つきの悪い瞳でアウラを一瞥した。
ここが“ 兵舎 ”だろうか。
アウラはぼんやりとした頭でそんなことを考える。
身体がダルい。
熱も出ているのかもしれない。
しかし、ベッドなんていつぶりだろう。
ふかふかとした触り心地にアウラは安心した。
「あ、目が覚めたんだね」
髪の毛を結い上げた兵士が
アウラの顔を覗き込む。
アウラはその顔を見ると目を見開いた。
間違いない。
昼間の女性だ。
「あなたは・・・・・・」
「また会ったね」
二人の様子に目つきの悪い兵士は
首を傾げる。
「知り合いなのか」
「昼間、ちょっとね。
落し物を拾ってもらったんだ」
落し物など拾った覚えがない。
アウラは兵士を見つめた。
その視線に気づいたのかハンジはアウラにしか見えない角度で人差し指を口にあてた。