第1章 あの頃
「おぉ!サシャ、よく言った!」
「いいぞサシャ、これで芋女卒業だな!」
「よく...やったと思う」
説得に尽力したメンバーたちは口々に嬉しそうに言葉をかける。
「頑張ったねサシャ、これでお肉にありつけるよ!」
アルミンもサシャの肩をポンと叩いて言った。振り返ったサシャの顔は、まるで壁外調査を終えた歴戦の猛者のようになっていて思わずアルミンは笑ってしまった。
「サシャ、それでいいんだな。キースのもとに明日向かう、と」
リヴァイが念押しするように問う。
「はい」
「よく言った。ウォールマリア奪還の前夜には肉にありつけているだろう。...楽しみにしておけ」
「はいっ!!」
心の底から嬉しそうに、若干よだれを垂らしながらそう言うサシャが、エレンたち同期にはここ最近で一番イキイキして見えた。
その後リヴァイからすぐに解散司令が言われ、皆が嬉々としながら自室へと帰っていく。
そんな部下たちの後ろ姿を見送りながら、リヴァイは誰もいない食堂で、人知れず微笑んだのだった。
〜 『あの頃』 〜
終