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溺愛執事の恋愛事情

第6章 完璧執事の、弱点





「ハイセ」


「はい、お嬢様」



「鷹司 薔、知ってる?」
「……今さらですが、ええ存じております」
「何よ、今さらって」
「ずっと前から彼は知ってますから。姫月様との仲も、存じております」
「そう」
「それが何か」
「いいえ、ふたりが一緒にいるところが全然想像出来ないから、聞いてみただけよ」
「想像なさらなくて、けっこうです」
「?」
「想像するに値しない、と申し上げたのです。お気になさらず」
「……わかったわ」





なんとなく腑に落ちないまま会話が終了したところで。
車は停車した。
先に降りたハイセに扉を開けてもらい、差し出された掌へと自分の掌を、重ねる。
誘導されるまま、ハイセの腕へと自分の腕を絡ませれば。
そのまま車は走り去り、ハイセは一歩、足を踏み出した。










「皇ちゃん、和泉様。ごきげんよう」
「姫月様、この度はご招待、誠に感謝いたします」
「和泉様、いつもご丁寧にありがとうございます」

ハイセに続いて深々と頭を下げる姫。



姫も、いつもナイトの如く後ろに控えている鷹司先生も。
今日はふたりともオフホワイトを基調にした上品な格好。
先生のネクタイと、姫の胸元に主張するでっかい淡いブルーのリボン。
ありありとお揃い感、満載だ。


「華、西園寺様をご案内して差し上げて」
「はい、薔様」


『皇ちゃん』と、嬉しそうにあたしに腕を絡ませる姫と正面へと足を動かせば。
ハイセも鷹司先生も、横にずれて頭を下げた。


「………」


学校では教師と生徒、でも。
西園寺家と鷹司家では格が違う。
こんなおおっぴらなパーティーでは上下関係がものを言う、から。
仕方ないと言えば仕方ないのだけれど。
あんまりこーゆーの、好きじゃない。


『西園寺様』、も。
はっきり言って違和感しかない。





「………学校との雰囲気、ギャップがすごいのね」
「え?」



学校ではあんなに柔らかな雰囲気なのに。
すごくピリピリしてるの、伝わってくる。



「……薔様、姫月家がお嫌いみたいなんです」
「うん、すごく伝わってくるよそれ」



バルコニーでなにやら仲良さげに話し込むハイセと『薔様』の姿に視線を向けた。







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