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溺愛執事の恋愛事情

第6章 完璧執事の、弱点


「では、早速お返事して参ります」







なんて。
にっこりと満足気に頭を下げるハイセを見て。
気付いた。


「…………」


また、やられた。
またハイセの思惑どーりだ。
はじめっからハイセは、パパがいけないことも。
あたしが姫から招待状をもらってくることも。
もしかしたら全て知ってた?
だってママが仕事でヨーロッパ行くことはずっと前から決まってた。
パパがたぶん追いかけることも良く考えればわかる。
あたしと姫が仲良いことも。
ハイセ知ってるし。


「どうされました?」
「………時々ハイセがわからなくて」
「意味がわかりません」
「頭いいのよね、きっとハイセは」

「……?」

「気にしないで。自分の幼稚さに落ち込んでいるだけだから」
「今さらでしょう」

「何か言ったかしら?」

「いえ?」



時々わからなくなる。
確かあたしはこの家のご令嬢で。
ハイセは執事だったはず。
なのになんで。
いつもいつも偉そうなの?
この人は。




「……そんな顔で見つめられたらめちゃくちゃに犯したくなりますが。よろしいですか?」
「は?」

あれ。
近いから。
さっきまで確か、カチャカチャと片付け、してなかった?
テーブルの上の食器どこ行った?
他のメイドさんたち、どこ行った?

「………沈黙は肯定とお取りしてよろしいですね?」

「いや!!よろしくないですよね!?朝ですよ?遅刻しますよハイセさんっ」

近いんだってば!!
いきなりドアップ、心臓に悪いっ。


「はい、ではご準備して下さい」

「……」



ス、と。
椅子に伸ばした両腕を離すと。
にっこりとハイセはあたしから一歩、後退した。


「………ハイセ」
「なんでしょう」
「あたしは人選、間違ったかしら?」
「いいえ大正解ですよ。自分ほど完璧な人間を僕は知りませんから。恋人としても執事としても、お嬢様の人選は完璧でございます。」
「………」


ああ、笑顔が眩しい。
朝から何故だか、どっと疲れたわ。
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