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溺愛執事の恋愛事情

第6章 完璧執事の、弱点






「………パーティーの、招待状?」


「そう」



ハイセの隠し事がなんなのか、結局あやふやなまま一週間がすぎ。
いつもと変わらぬ日常を過ごしていた、ある日。
あたしの手元にパーティーの招待状が届けられたのだ。
主催者側の、人間から直接に。


「姫から」
「姫月さまですか。実は西園寺家にも同じものが届いております」
「なんで黙ってたの?」
「旦那様宛の招待状でしたので」
「……パパの?」
「ええ、困りましたね」
「そうね」


パパはつい先日、ママに会いにヨーロッパへ旅立ったばかりだ。

「それ、知らなかったの?」
「いえ、きちんとお断りの一報は入れたと聞いております」
「なら問題ないじゃない」
「旦那様がお断りしたのに、ご令嬢であるお嬢様がいけるはずないでしょう」
「なんでよ」
「常識的な問題です」

あ、そ。
相変わらずハーブティー淹れるの上手いのよね、この人。
今日はジャスミンね。

「だって姫は友達よ?」
「だから、困りましたね」
「駄目なの?」
「しかしながらお相手は姫月様。確か総裁のお誕生日のお祝いだとか」
「ぅ、わー、それ、断っていいやつなの?パパ」
「駄目でしょう」
「ですよね」
「恐れ多くも西園寺家と姫月家ならほぼ対等。旦那様にとってはきっと、奥様の方が大事なのでしょう」
「………」

複雑ね、それ。
娘としては喜ぶところなのだろうけど、第三者から両親の熱々話は聞きたくないわ、正直。


「別にあたしがパパの代わりに行っちゃいけないの?」
「………」
「何よ」
「言葉使い、姿勢、ダンス、ピアノ」
「??何?」
「旦那様の名代として出席するならばまずはそれ相当のご令嬢たる威厳が求められます」
「はぁ?」
「そのような間延びした受け答えは以後禁止します」
「は…」

口を開きかけて、両手を口元へと持っていく。

「よろしいですね?」
「……よろしい、デス」
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