第5章 溺愛執事の逆襲
いつもよりも数段と荒々しく。
激しく。
余裕なんか全然、感じられなくて。
聞こえるのは激しく荒い、息遣いと。
時々吐き出される甘い吐息。
それだけで。
ハイセをさらにきつく締め付ける材料としては十分だ。
普段、どんなにハイセがあたしを気遣ってくれてたのか良くわかる。
どれだけ、耐えてくれてたのかも。
激しさを増していくその行為に、体は限界を迎えそうになるけど。
大丈夫。
全部、受け止めたい、って。
本気でそう、思った。
「……ふ、っぁ、ん、あああっ」
ハイセが最奥をトントン突く度に。
それをギリギリまで引き抜く度に切なくてお腹の奥がぎゅーって、なる。
だけどすぐに奥を突かれれば。
身体は悦んでハイセを迎え入れるのだ。
「っ」
ドクン、て。
中で痙攣しながら、ハイセが吐き出したのを感じる。
ドクン ドクン、て。
脈打つのがすごいダイレクトに響く。
「ん……」
ずるりと、それが音を立てて引き抜かれた瞬間。
あたしはそのままうつ伏せにベッドへと倒れこんだ。
「皇」
ぎし、って。
ベッドを軋ませて、ハイセの左手が顔の横に置かれる。
反対の掌は、優しく頭を撫でてくれていて。
その温もりに安心する。
このまま、闇の中に引きずられそうな意識を叩き起こして。
そっと目を開けた。
「!!」
途端に。
「嘘っ」
視界に入りこんだのはハイセの手首から流れた赤い血液。
一気に目、覚めた。
「ハイセ、手、手首っ」
ぐるりと横向いてハイセの左手を両手で握りしめる。
「ああ、さっきこれ、外した時かも」
ペロリと、手首に着いた血液を舌で舐めとってから。
口を使ってベルトを外していく。
「ハイセ……」
サーっ、と、血の気が引いたあたしに気付くと。
ハイセはいつもみたいに頭をポンポン、て、撫で上げた。
「オモチャだから、簡単にちぎれますよ。少しベルトで擦っただけですから」
「で、でも」