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溺愛執事の恋愛事情

第5章 溺愛執事の逆襲


「あ、これ、は……」



ああ、だからもう。
そんなにぎゅーって胸元シワよるくらい握られちゃったら。
こっちの理性が先に崩れるから。



「お嬢様」



心の声とは裏腹に。
至極冷静に。
彼女のいるベッドへと腰を下ろし、自然と右手は彼女の頭を撫でていた。


「……俺の服着て、俺の、ベッドで。そんなに寂しかったですか?」


うつむきながらも小さくコクン、と頷く彼女。
に。
一瞬だけ目を疑った。
あまりにも素直すぎる反応に、一瞬、目が瞬きを止めた。



「皇?」


「さみしかったよ!ハイセのバカっ、バカバカっ、大嫌い」


「………」



やば、これ。
そんなに激しく叩くから。
見えちゃった。


皇、下着つけてない?


なんかいろいろ、糸切れたかも。



「……空気、読んでよ。バカじゃないの?」
「は?」
「押し倒したの!!倒れてよ!」

「………は、ぇ?」


「たおれる、の!!」


「あ、ああ、ハイ」


あれ、あの激しい叩きは俺押し倒されてたんだ。
まぁ、ずいぶんと激しく押して来るなとは思ったけど。



「は?ちょっと、皇っ?何してっ」
「お嬢様」
「は?」
「ハイセは、執事でしょう?名前呼んでいいなんて許可してない。ついでに、ハイセ力強いからこの腕邪魔。好きでしょう?手錠」

「はぁ?」


ああ、もうくそっ。

ぜんっぜん抜けねぇこの手錠。




両腕が動かないのを認識してすぐに視線を上へと向ければ。
いつしか彼女に使ったのと全く同じものが嵌め込まれていて。
ガチャガチャと耳障りな音だけが響く。



「皇っ」

「じゃ、ないってば」


「………お嬢様、何してるのか聞いても?」




馬乗りになって、流れた髪の束を耳にかけながら。
にこりと笑みを携える彼女にゾクリと、何かが背筋を駆け巡った。



「誘惑」



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