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溺愛執事の恋愛事情

第3章 お嬢様、バイトする


『あたしも同じように自分でお金稼いできたら、あたしを同等に見てくれる?』

『子供扱いしないでくれる?』








正直、何言ってんのかわかんなかった。
子供扱いなんてした覚えすらないし。
だいたい、大人になるのをどんなに待ちわびてきたか。
こんな風に彼女に触れられる日を、どんなに待ちわびてきたか。



「………めんどくせぇ」




新しい家庭教師を迎えるのはもうすぐそこまで迫ってる。
あの空間に。
あの、部屋に。
俺以外の男の匂いが染み付くんだ。
家庭教師なんていらない。
俺がそんなのいくらでも引き受けるのに。
旦那さまに電話で抗議したところで。
「お前はあの子に甘すぎる」
の一点張りで、相手にもされなかったのだから。

絶対俺のが上手く教えられるのに。
皇のことを知ってるのは、一番知ってるのは俺なのに。





なのに。



全然危機感も持たずにヘラヘラしてるあいつに腹が立ったのも事実。
正直、八つ当たりと言われればそれが当てはまるのかもしれない。
子供扱い、してるつもりはないが。
まだまだ子供から抜け出せないのは、どっちだよ。










「ぇ」
「あれ、和泉さま、知らなかったのですか?」
「今日、終わるの早いんだよ」



迂闊だった。
予定表は確認していたつもりだったのに。
まさか。
皇がここまで俺を避けるなんて思わなかったから。



「あの、大丈夫ですか」


「……えぇ、ご心配ありがとうございます。姫月さま、望月さま、いつもお嬢様と仲良くして頂いて、感謝しております」
「そんな……っ和泉さま…」
「姫、顔真っ赤。見られたらどーすんの?」
「朱莉ちゃんっ」





皇の居場所なら、わかってる。


あいつに知られれば絶対怒るのはわかってるけど、曲がりなりにもお嬢様、なわけで。
どんな危険があるか、わかんないのも事実なんだ。

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