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溺愛執事の恋愛事情

第3章 お嬢様、バイトする


「………っ」



いつもいつも、邪魔ばっかするくせになんでこないのよ。
助けに来なさいよ。
バカハイセっ!!




ドアへと体を向けながら、蹲るあたしの背後で知らない人の気配が、して。
どうにもならない事実に、体が震えた。



結局あたしひとりじゃ、なんにも出来ない。




「諦めなって」

「……や、離してっ」


簡単に肩に担がれるように体を起こされれば、いくら抵抗しようにもまるで子供みたいに歯が立たない。


「いやっ、触んないで……っ」


いやらしく熱い吐息を吐きながら、安そうな硬いベッドへと沈むあたしの制服に男の手が、かかって。
ボタンを外されれば、下着だけの痴態が晒される。
こんな、知りもしない下品な男にこんな姿晒すなんて。


「!!……っ」


首筋に、男の手が触れた途端。
感じたのは言いようのない嫌悪感。
吐きそうなくらいに、気持ち悪い。



「…っせ、はい、せ」


やだ。
嫌、こんなの、やだ。


「はいせぇぇっっ!!」




ハイセ以外に、触れられるなんて嫌だ。
あたしに触れていいのはひとりだけなんだから。







「……呼ぶのおっせぇよ、バカ」



「………っ」




ぇ。




なん、で。



涼しい顔して、いましがた全然びくともしなかった真っ赤なドアをくぐりなから颯爽と現れたのは誰でもない、ハイセ、で。





「はい、お嬢様。お呼びでしょうか」




いつもと変わらないその笑顔を、あたしへと向けたのだ。
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