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溺愛執事の恋愛事情

第3章 お嬢様、バイトする


それからも。
新しくバイトを始めれば。
気付けば目の届くところにハイセはいつもいる。
いつもいて、あたしの邪魔をするのだ。




「どっちかってーと、ヘルプの方だと思うんだけどね」
「和泉さま、さすがですね」




「うるさいな!!おかげでこの1週間、疲れただけでお金貰ってないんだから!!」




ハイセのやつ。
絶対クビにしてやるんだから。



「お嬢様にバイトは無理なんだってば」
「望月さんだって出来てるじゃない」
「あたしは姫やあんたとは違うの」
「はぁ?姫だってたまにはしたくない?バイトとか」
「あたしは…たぶんすぐに見つかってしまいますから」

「……」


なんでそこ、真っ赤になるとこ?
時々このほんわかした生き物が、謎で仕方ない。










「あーもうっっ」


イライラする。
今日もハイセの目を盗んでひとり帰った放課後。
いつも車で通る道とは違う、裏道で、落ちていた空き缶を思い切り蹴飛ばした。

カラン、て音を立てながらただただ転がって行く空き缶。

あたしの人生はたぶん、あれだ。
自分の力では動くことさえ出来ずに、他人の力を借りなきゃ動けない。


「………」



全部、ハイセに管理されてるんだ。



ハイセのことは好きだし。
恋人として、そばにいたいとは思ってる。
ずっとずっとベタベタくっついて、イチャイチャしたい。


だけど。



ハイセは?


ハイセはあたしを、どー思ってる?




「憂しげにため息なんて、どーしたの?」




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