第3章 お嬢様、バイトする
「どーしたの、皇」
「皇ちゃん、和泉さまとケンカでも?」
「望月さん、姫」
隣の席の、姫月 華。みんなに姫、って呼ばれるくらいに気品も優雅な上品さも兼ね備えている。
これぞまさしく、元祖お嬢様、の典型かな、とか思えるくらいに。
ボディーガードよろしく隣に陣取るのは望月 朱莉。
姫とはいつも一緒だ。
とは言っても、ほとんどのメンツが初等部から一緒なわけで。
だいたいが、顔見知りではあるのだけれど。
「絶対バイトしてやるんだから」
確かに自分でも途中から論点ズレてた感は否めないのも、事実。
だからといってここで折れちゃうわけにもいかないのが、女のプライドってもんで。
「何皇、バイトすんの」
「バイト確か禁止のはずじゃ」
「……」
誰に向けるでもない、ただ呟いた言葉なんだから、わざわざ拾って頂かなくていいんだけど。
「バイトすんなら、知り合いの店が人足んないみたいだけど」
「!!」
前言撤回。
「どこ!!」
持つべきものは、やっぱり近くの友人よ!!
「お嬢様に勤まるかな、忙しいよ?」
「望むところよ!!」
「………皇ちゃん」
そうよ。
あたしだってちゃんと、立派にお金稼いで見せるんだから!!