第2章 Lady GO or Stay?
「やめ……っ、ぃや、んん……っはぁ」
駄目。
ほんとそれ、無理。
チカチカする。
全然力入らないし。
体の震えは尋常じゃないくらいに止まらない。
「……っせ、わ、……った、か…っいう、いう、か、らぁっ」
涙ながらに懇願すれば。
ピタリとやむ、敏感な場所への刺激。
だけどそれは同時に、沸点めがけてかけ上がっていた体温が、行き場をなくして発散できずに体内に残された結果を生んだ。
熱の発散場所を求めて、いつもよりも心臓も肺も酸素を取り込もうと貪欲に体を蝕んでいく。
「はい、ではどうぞ?」
「…………っ」
全てお見通しな意地悪な光を瞳にも口元にもたずさえて、ハイセはやっと顔を上げた。
「……この、変態……っ」
「ええ、誉め言葉です」
「最低……っ」
「でも、好きでしょう?」
好きじゃない、なんて口から出すには恐ろしすぎる言葉をなんとか飲み込む。
そんなこと言った瞬間に何されるかわかったもんじゃない。
「あれ、まだ足りませんか?」
「ま……っ、違っ」
「ではそろそろ、聞かせてくれますか」
「…………」
「お嬢様?」
「………キス、してくれたら、言う」
理性なんてもの、とっくの昔に崩壊してる。
この悪徳執事を好きになった瞬間から。
理性なんてものはたぶん、持ち合わせてなんてないもの。
「あ………」
羞恥心に反らした視線。
何の反応もないのに不安になりながらも戻した視線の先には。
固まったままの無表情なハイセが、いて。
「ち、が……っ今のなし、言う、ちゃんと言うから……っ」
間違った答えに、一瞬背筋に嫌な汗が伝う。
だけど。
「不意打ち」
「え」
「そんなかわいいおねだりされたの、初めてです」
「違……っ、おねだりとかじゃ」
「大丈夫。大正解ですよ、その答え」
「え」