第2章 Lady GO or Stay?
しまった。
また鉛筆が犠牲になったわ。
ごめんなさい。
じゃ、なくて。
「……今すぐ真面目にやらないなら制服も下着も全部脱がしてここで朝まで僕が満足するまで犯し続けます。泣いても寝ても止めません」
「………ごめんなさい先生今すぐやります」
怖い怖い怖い。
今、目がマジだったってば。
やりかねないからこの人。
笑顔で脅迫なんて、全然序の口だったんだわ。
まだまだ恐ろしい顔を隠していたなんて。
大人、って、恐ろしいのね。
「あ、ここ、間違ってる」
「どこ?」
トントン、と長い指先が指し示すのはけっこうはじめの段階だ。ってことはこれ全部、やり直し。
「でもやり方は間違ってませんから。段々理解出来るようになりましたね」
「…………」
確かに。
なんだろう。
授業とは違ってす、と頭に入ってくる。
「ほら、ここも」
「あ、うんほんと」
「わからない、がなくなりましたね」
「え」
「間違いを指摘しても可愛く首を傾げていた数時間前に比べて、間違いがわかるようになってきてます」
「間違ってることにはかわりないけど」
むー、と、ふてくされながらも横に反らした視線。
「いいえ?間違いに気付ければ次は間違わない、とゆーことです。頑張りましたね」
ポンポン、と、頭に置かれた掌の心地よい温度。
ふくれてたはずの気持ちが、急にほんわかと温かくなってくるから不思議。
ああ、でもそっか。
「ハイセが、教えるの上手なんだわ。」
「え」
「すごくわかりやすいもの」
微笑みながら隣のハイセを見上げれば。
一瞬だけ驚きに見開かれた瞳はすぐに、いつものようにやんわりとその面積を狭めていく。
「それは、よかったです」
「ええ」