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溺愛執事の恋愛事情

第2章 Lady GO or Stay?


「………っ」



真正面から見下ろしながら、の。
唇をなぞっていく親指は絶対わざとだ。


抵抗なんて出来ないの、わかってて全部やってるんだ。



「お嬢様」


にこりと細められた漆黒の深い黒曜石にさえ、体が勝手に熱を上げていくのだから。


「続きは、お勉強の後にいくらでもして差し上げますから」

横たわったまま、先ほど同様膝裏と背中にハイセの腕を認識した矢先。
体はふわ、っと、宙に浮いた。
甘く、優しく囁きながら、彼はあたしを椅子の上へと下ろしたのだ。


「……ぇ、は、ふぇ?」


何?
さっきまで、極甘な雰囲気の中視界にはハイセが見えたはず。
なのにあれからものの数秒とも立っていないはずなのに、今視界にうつるのは何故か机に広げられた問題集。
の、山。


「……山っ!?何これ!」

すでに数える気力さえ奪っていく山積みされた問題集。

「1週間で、全てやって頂けますか」
「はぁ?」


怖い。
笑顔がすでに、凍ってるこの人。


悪魔は怒らせたら大魔王にでもなるのね。
怖い。
家庭教師を付けてもらった方があたし、幸せだったんじゃないの?
両親が旅立った後じゃ何を言ってももう遅い。


「………これも計算してたわね?」
「なんのことでしょう」


パパがいるうちに、あたしが家庭教師なんていらない、そう言わせれば満足だったのよこの男。
その後で決定を覆したところで、パパがいなけりゃ覆らないんだから。
毎度毎度、同じ手に引っ掛かるなんて。



「変態大魔王執事」

ボソッと呟いた言葉は、しっかりきちんと本人へと届けられたようで。

「追加してもよろしいですよ?」

にっこりと微笑む悪魔な執事の頭に何故か見え隠れする……いいえ、隠れてもいないそれは、絶対にあの先が尖ってる恐ろしいものに違いない。
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