第2章 Lady GO or Stay?
「ハイセっ!?」
玄関を入り、使用人からのお出迎えとやらをさっさと済ませ、階段へとさしかかったところで。
彼女の肩と膝裏へと手を回し、所謂お姫様だっこを決め込む。
驚きに声を高らげる彼女に、一瞬だけ向けた視線。
「静かにして頂けますか。それとも人に見られたいですか」
冷ややかにそう言い放てば、ぐ、と唇を噛み締める。
その仕草さえもかわいくて興奮を煽る材料にしかならないのだけれど。
そんなことを口にすれば一生お姫様だっこなんてさせてくれないだろう。
足だけで彼女の自室のドアを開け、そのままベッドへと縫い止める。
「だから、ハイセっ!?」
「言ったでしょう?べったりぴったりくっついて、お勉強を教えて差し上げますと」
「くっつきすぎ」
「ええ、執事としているわけではありませんから」
「え」
「先ほど言っていたことです。執事としてではなく、恋人としてならお嬢様の予定を前もって知っていても差し支えないでしょう?」
「………一緒じゃない、それ」
「いいえ?」
ベッドへと両肘をついて上体だけ起こす彼女の柔らかい唇に、軽く、ほんとに軽く触れる。
「執事はこんなこと、お嬢様にする事事態禁止されてますから」
「よくゆー」
上目遣いで睨む、とか。
ほんとわかってないな、この子は。
「でも好きでしょう?」
そのまま先ほどとは違う、吐息まで完全に奪うような深い口付けを彼女へと送れば。
始めこそ抵抗を見せていたその唇も、徐々に蹂躙され、しまいには完全に俺を受け入れた。
とろん、と完全に溶けきったところで。
甘い蜜のような彼女の舌先を吸い上げると、効果音付きでその唇を離す。
「………お嬢様」
耳元へわざと甘く、優しく低音を捩じ込めば。
ビクン、と小さく真下で何がが跳ねた。
「続き、して欲しいですか?」